アイスティーにガムシロップの透明が沈んでいく程静かな逢瀬
私たちもう大人なの? アイスティーにガムシロップは沈んだままに
やわらかい首筋を噛む今宵さえシーツは孤独の手触りがする
まざること まざらないこと さみしさはどちらなのかな五月闇
不安でも掻き混ぜてみる気楽さで指がグラスの中身を揺らす
どうせ君も五つの借り物 分からないままでいいんだ紅茶の味も
私たちまだ子どもなのアイスティーの渦はほど無く消え去るでしょう
薄曇の夜が白んでいく からっぽのグラスに満たされていく
グラスみたいに透明になれない身体だから触ってあげるね
五つの借り物……人間のはかない生命のこと。
すべての物は地・水・火・風・空の五つから構成され、
人間の肉体も死ねばこの五つに戻るという仏説からの語(大辞泉)