クリスマス #TANKAmore

 12月24日、世の中に溢れる「クリスマスのはずなのに……!」の思いに狂わされたテンションに身を任せ、質より量で短歌を詠みまくるイベントを開催しました。


 夜カフェでケーキを食べるカップルのためのサンタとしての店員

 うちのこと待たなくてもよかったのに待っててくれたひとのいること

 風呂にするか食事にするかも自由だし訊くひといないしひとりだし

 追い焚きの機能が心に必要なクリスマスイブ猫エサを買う

 苦しさは隣人だって澄んだひとを待ちながら言う少し眠たい

 聖夜だと言うことなのでモスチキンを食べながら見るテレビで殺人

 お風呂、スパークリングワイン、白で辛口、生ハムの端

 待っていてくれたあなたのいる夜に開けたワインを「好き」と名づけた

 照らされた光の前に来た夜を僕はずっと覚えてあげる

 わたしより素敵なひとがいるでしょうと軽やかに笑むキミだから好き

 夜更け過ぎに雪へと変わる前に止んだ雨に打たれたりした

 その恋が続けばいいねと投げ槍に祈ったりしてケーキを売って

 ホットミードが飲みたいのって去年も言った来年も言う

 そんなこと去年のクリスマスにも言ったよねって言ってくれるひとがほしいの

 眠たさを毎晩配ってくれるひとをサンタさんより愛してしまう

 猫のエサを豪華にしたらおしまいのクリスマスイブは空を見てみる

 もうみんな寝てしまったの? もうみんな寝てしまったの星が出ている

 もうみんな寝てしまったの もうみんな寝てしまったよ夢を見ている

 もうみんな寝てしまったの もうみんな寝てしまったね悲しさがある

 もうみんな寝てしまったね悲しさを癒してくれる奇跡にすがり

 いつか奇跡だって起きる今夜あなたは幸せになる約束できる

 夢のなかの神様があなたを幸せにする奇跡を起こすひとが私よ

 50時間くらい眠ろうしあわせを願ってしまう心のために

 しあわせを願える相手のいることをこの人生の終着とする

 しあわせを願うことさえ忘れはて眠れる夜がありますように

 しあわせを願ってしまうひとの横しずかにいれる私をつくる

 私を準備するあなたの望むすべてができる私のすべて

 奇跡を起こすよって言ったら信じてもらえるひとでいたいの

 だれかをしあわせにできるひとでいたかった依存だった

 あなたはあなただけで幸せになれる わたしはわたしだけで完成する

 あなたはあなただけで幸せになれる私はそれを祈って眠る

 かなしさの潜む心で幸せを祈ることができたからいい

 今死んだっていいんだ君のしあわせを祈れることがうれしい

 人生で今がいちばん素敵だと言えた気持ちをあなたにあげる

 首を吊るそのときだってしあわせと言ってしまえる私でいます

 神さまを信じて眠る子どもとかそういうものの手触りがする

 死に触れるとしたらきっとこんな感じと背中をなぞる

 おやすみ あなたが眠るとき奇跡をわたしは起こす かなしくない

 かなしさがあっても明日もカップルのためにカフェでパスタをつくる

 かなしさがあっても生きていけるように奇跡をあなたの眠りに落とす

 あなたにしてあげたいこと全部わたしにしてほしいことだった バイ

 おやすみ 欠片でもあなたへのやさしさがわたしにあった しあわせ

 本当はまだ起きていたい夜 奇跡は眠っているときにある

 眠ってもいいよ起きててもこれ以上は今夜しあわせになれないからね

 おやすみ 欠片でもあなたのやさしさを信じられた 星灯り

 しあわせを祈ることをあなただけが許してくれたと思ってもいい?

 おやすみ おやすみ 神さまがその眠りを君を愛するだろう

 おやすみ 奇跡を信じてもいいって今夜だけあなたにささやく祈り

 おやすみ わたしは今夜死んだってよかった幸福だった

 あなたをしあわせにしたい気持ちと不幸にしたい気持ちは同じ

 不幸にしたいくらい君は大切なひとだったから おやすみ

 祈り 外国の景色を延々流すテレビの画面 かなしさ

 おやすみ 眠っていれば泣いていることに気づかないから おやすみ

 まださようならを言えるほど奇跡を信じられなくておやすみ おやすみ


index短歌→クリスマス #TANKAmore
13.12.24
クリスマスはカフェでパスタつくってました。