お月見 #TANKAmore

 9月12日、中秋の名月、まんまるお月さまに上がったテンションに身を任せ、質より量で短歌を詠みまくるカオスお月見 #TANKAmore を開催しました。
 今までは返歌は省略していたのですが、今回参加くださったこはぎさんのアイディアを勝手に借用し、返歌には☆をつけて区別してみました。
 祭の全容はtogetterから。


 わふわふのお布団ですね子どもらも眠るよ今宵の涼しい風に ☆

 お月さまはきっと泣いてる夜の空に広がる光の環にくるまれて

 白々をしらしらという君といる しらしら明るい夜道を歩く

 お月さまが雲に隠れた瞬間にキスして晴れたら知らないフリで

 どうしてか寂しい気持ち お月さまはわたしのそばにいてくれるけど

 輝いてなくても君はそこにいる 毎日毎日君を見ている

 カーテンを閉め切った部屋に忍び寄る満月の気配に怯える2人

 満月は怖いねと言う恋人へ手渡すワインに睡眠薬を

 月よりも望月色を 甘ったるい香りが売りのワインを飲もう

 ねむたいとつぶやくひとが倒れ込むベッドに染み込む月影1つ

 月なんてただの石くれ 君と手をつなげないなら輝いてても

 ぼんやりと月が照らした道だから君のおばけに会えたっていい

 お月さまみたいに輝くひとだから ときどきちょっと休んでいいよ

 「あかるいね」「あかるいね」って囁いて頷きあったら作戦開始

 「ねんねする」って布団にもぐる君の唇から香る蜂蜜ワイン

 虫の声が聞こえる庭に立ちすくむ貴女を月に捕られたようで

 ねぇもっと近づいてみて私もうこんな綺麗に光っているの

 水入りの水晶月に翳したら見て見て私はここにいますよ

 すっかりと晴れてしまった悲しみに白々と差す月の面影

 水面にただよう月を見ていると前世はくらげだった気がする ☆

 蜂蜜ワイン飲み干してキスする香りの甘口月夜

 パソコンじゃなくて私を見ていてね ほらたった今南中する月

 いつの日か出逢えることもあるだろう まあるい月が見下ろすなかで ☆

 こんな日に魔法の使える世界からイケメンが来たら笑っちゃうよね

 お月さまの大きい夜に異世界の使者が来るのを願ってたひと

 金色のスパンコールを貼り付けて1枚1枚わたしの胸に

 お月さまの光が差せば白々と輝いたでしょう今夜の雨は

 水たまりにお月さまいる浅いのにお月さまいる不思議な夜だ

 くらくらと気持ちがふらつく夜だから貴方に任せたい胸がある

 君のひとみにお月さまがお引っ越しの準備だけど邪魔してキスしてみよう

 母国語の訛りで語る「月が綺麗ですね」の響きが触る片恋

 お空には月がまんまる 地上には猫がまんまる ねむたいいのち

 たんかもあって響きがとっても眠たそう お月見しながら寝るっていいね

 虫の声 猫の寝息 お月さまにも音があるかもしれない秋に

 夢がいいならば夢ってことでいい お月さまの下 手を繋ぎたい

 宇宙って真っ暗らしいよお月さまは1人じゃないよ多分きっとね

 白猫の垂らした尻尾も照らしてる 部屋に差し込む月の明かりは

 この部屋に来るお客さんは猫たちと月の光とお手紙と

 ねむたくてぐずる子どもじゃないけれど貴方のパジャマの裾を摘んで

 舐め取っていいかな君の指先の月が何故だか羨ましくて ☆

 点検をしてます月の光だけが頼りでわたしのこころの内を

 バンドエイド貼ってあげよう 月の裏に あなたの胸に

 あの月に孤独な男がいるという お前を腕に隠していいか

 蜂蜜のワインで酔わせて十五夜にあなたのからだになりに行きます

 君のからだを引き寄せてみる月影に浮かぶ肩胛骨が痛くて

 熱くって触れられないの太陽は そうつぶやいて月を見ている

 うさぎ型ロボットが月を記録する永遠の旅に君は泣いたね

 つきかげに照らし出された君のよこがおだって忘れないから

 てのひらに文字を書くだけ お月さまが聞くと嫉妬する気がしたよ

 めがねを外して空を見上げて12個の月にさよならを告げ

 月明かりに浮かぶあなたの首筋に触れてもいいかなんて訊けない

 うさぎは眠るときどんな形になるの? それが月にはたくさんいるの?

 許可なんて1つもいらない月明かりに私が触れる前に浚って

 夢だった叶わなかった天国に月は昇っていますでしょうか

 ひとりきり月を眺める夜もいい水晶だけが返事をくれる

 権利ってなんでしたっけ努力ってなんでしたっけ月は白いよ

 恋の歌ばっかり詠むのは誰のせい白露の朝にあなたがほしい

 移ろっているとあなたは言うけれど月はまんまるホントはいつも

 月だって太陽だって見ているよ 君がいけないことをしたのを

 傾いたお月さまって重そうね 両手でそっと包んでみたい

 たった今あなたの横に降り立った光よそれが悲しみなのだ

 レーテーの川の雫があの月にあるかもしれない そんな気がする

 窓から手を突きだして 水晶に月を映してみせて

 みんな凍ってしまうそうだよ月の光は溶けているのさ

 すらすらと眠るあなたの黒髪に月の明かりが光ってみせる

 水晶を磨いている手つやつやと私はそれに触ってはダメ?

 あなたの黒髪に月明かり(でもあなたはそれを知らない)

 満月を従えたような男だな凍える視線に寂しさがある

 怯んでしまう 月影に照らされる髪の一条が毒牙のごとく

 月影に照らされる髪の一条が毒牙のごとく 怯んでしまう

 ゆっくりと滑り落ちてはお月さま 私が見てるのご存知ですか?

 何度見上げても分からないだろう、あの月を飾る言葉を

 お腹へったよお月さま あなたも少し美味しそう

 正義ではないかもしれない月影はそれでも人を包んでくれる

 貴方のように美しい月だよ 涙粒に宿っているよ

 たった今あなたの横に降り立った光よそれが悲しみの歌

「舌を噛む癖があるんだ」告白に愛撫で返す十五夜だから

「綺麗」って言える間でありたいね 綺麗なものは全部ぜんぶ

 くもりって言っていたのにお月さま会えたねちょっと嬉しかったよ

 ふんわりと明るい雲は君のほほえみのような手触りでした

 くもりだねって言いあいながら2人とも空をずっと眺めていたね

 月影は部屋の東に射し込んで 朝日に何か伝えるように

 西の空よりも東が明るくて悲しくないって言ってあげたい

 朝焼けが始まってもまださよならじゃないでしょ月はいつでも空に

 烏の声が聞こえ始めたこの部屋はまだ眠るよ2人

 中秋の朝の風は穏やかで夢でも月を彼女に見せる

 良夜にも白々と朝はきてしまう 染み渡るように光が戻る

 今まさに昇ろうとする太陽に答えて月が明るくなるよ

 猫がえさをねだったら朝 夜のこと忘れないから 嬉しかったよ

うさぎ型ロボット……上遠野浩平の
ぼくらは虚空に夜を視るシリーズを本事取り


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11.09.14
お月さま綺麗でしたね