嘘ばかり吐くひとの嘘たとえれば過去から不幸の風が吹くから

 電気ブランをソーダ割にて夕暮れの薄い陰よりかなしく眠れ

 愛のある悪意をもっとシンプルにしてみてできれば水素のように

(ひとりきり眠れないって思ってる)(もしもし君のそばにいたいよ)

 好きだったって君のための毛布になれなかったって泣いて泣いて

 死にたさに香りを感じる夕まぐれ 電気ブランの底を見るまで

 何度でも乾杯しようクズこそは人生さえも愛おしむこと

 君の父が君を殴ったことだって君と私は愛するつもり

 アルコールで死ねたらいいねゴミのなか君に似ているやさしさが好き

 ふたり口にしたのも今夜泣いたのもお酒が愛を守っていたから


電気ブラン……ブランデーベースのカクテル。40度ある。
ストレートかロックで飲むのが一般的。
何度でも・アルコール……中島らも「今夜、すベてのバーで」に寄せて。


キスして
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13.06.14


希望がないなら
私の魂が私であることを祝福するしかない
どんなにダメでクズで最低でも
これ以上のものはないのだから