音痴少女よりお手紙です。

 親愛なるあなたさま

 五線紙のいうとおりに声を出せない私でも、歌えると知ったのでお手紙書きました。お元気ですか?

 私は汽車で通学するようになって、早起きにも慣れてきました。最初は寝不足でうなっていたけど、夜にたっぷり寝るので大丈夫です。あの駅は無人駅だから、車掌さんとも仲良くなりました。……って言っても、無人駅を使ったことのない君には分からないでしょうね。切符をね、車掌さんがチェックしてくれるの。わざわざ降りてきて。話したりとかはないんだけど、「あ、あの人だ」みたいな感じで、会うとちょっと嬉しかったりします。

 幸せと呼ぶには少し眠たげな小猫のようにのんびりしてる

 ……70点、くらい?
 そういえば、都会では急に夜がやってくると聞きました。夕日が見えないって本当ですか?
 やっぱり、ビルに隠れて見えなかったりするのかな?
 でも、空が茜色になったりとかして、ちょっと夕方っぽくなったりはしないの?
 ビルのせいで空が狭いって聞くけど、茜色の部分が見えなかったりするのかな?

 今度、そっちに行こうと思います。確かめるために。ついでにCATSも観たいしね。チケット、もう取ったんだ。ホテルも、劇場近くにイイところ見つけました。今から楽しみです。会えたら会いましょう。そしてもんじゃ焼きをおごって下さい。いまだに、バイト代が時給1100円っていうのが信じられません。……今、「俺に会うためじゃないの!?」とか思ったなら、自意識過剰です。私はそんなに甘くないです。里心がつくといけないので、夏の帰省まで頑張ること!

 青色の私の好きな君のシャツ 都会の匂いも染みついたかな

 ……即興は、よくないね。
 まぁ、君が望むのならチケットをもう1枚買ってもいいです。2階席だけど正面だし、角度的には役者さんと目が合いそうなところ。1度は観ておくべきだと思うよ。凄いんだから、CATSって。

 じゃぁ、チケットとかの関係もあるし、早めにお返事下さいね。また電話してね。短いけど、今日は寝るから。おやすみ。

田舎に置いていかれた事を、実は恨みつつ
5/18 結架


indexlog→音痴少女からお手紙です。
07.10.04 08.05.29改題